
米や麦等の麹原料を蒸し、これを40度前後に冷まし種麹を混ぜ、2日程度かけて麹菌を生育させたものが麹です。この麹を造ることを製麹といいます。麹菌には、白麹菌・黒麹菌・黄麹菌の3種類があり、本格焼酎の製造には、おもに白麹菌・黒麹菌が使われています。

明治40年代まで、鹿児島の芋焼酎造りには、清酒と同じ黄麹菌を使っていました。しかし、気候が温暖であるため、もろみが腐りやすいという問題がありました。そこで注目を浴びたのが、当時沖縄で泡盛の製造に使われていた黒麹菌でした。黒麹菌を使用すると、今まで黄麹菌を使っていたがためにもろみを腐らせていた酒造場でまったくそれがなくなり、できる焼酎の量も大きく増えました。これは、黒麹菌が生成するクエン酸に腐造を防ぐのに大きな効力があるためなのです。このクエン酸のおかげで、温暖な気候の鹿児島でも安全に高品質の本格焼酎を製造できるようになりました。

ただ黒麹菌には、作業をする者の体や衣服を黒く汚すという欠点があり、杜氏達はそれに頭を悩ませていました。それが大正時代に入ると、黒麹菌と同様にクエン酸の生成力が強く、黒麹菌の欠点であった身体の黒い汚れを無くし、焼酎の味と香りをソフトにする白麹菌が黒麹菌から分離されました。そして昭和20年代になると、この白麹菌の長所が広く受け入れられ普及していきました。しかし、現在では様々なニーズに応じて、白麹菌以外にも黒麹菌や黄麹菌を使用した色々な本格焼酎が出荷されています。

製麹には、クエン酸を必要量生成させ、糖化酵素を安定して造らせるという二つの大きな目的があります。一般的な製麹の過程は次の通りです。原料となる米または麦を蒸し、これに種麹を混ぜ、40時間前後かけて培養します。この際、麹の温度は、前半が40℃ぐらいに、後半が35℃ぐらいになるように調整します。これは、麹菌が40℃ぐらいの高温で糖化酵素等を多く造ることと、35℃ぐらいの低温でクエン酸を多く造るためです。

また、製麹には、昔ながらに断熱材で壁や天井等を覆った麹室で行う方法や、自動製麹装置で温度制御した空気を送りながら行う方法があります。麹の原料としては、芋焼酎・黒糖焼酎・米焼酎には一般的に米が使用されますが、それ以外の本格焼酎には麦が使われることもあります。
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