
焼酎は清酒やワインのようにもろみを搾ってできたものではなく、もろみを蒸留してできているため、味はほとんどしないと言って良いはずですが、実際に私達は、どこどこの焼酎は甘いとか辛いとかいった言い方をします。特に芋焼酎には、他の焼酎では得られない独特の香りと甘味があり、この香味の特徴は世界中の蒸留酒の中でも他に類をみません。

それでは、なぜ本格焼酎には味があるのでしょうか?その要因の一つには、高級脂肪酸エチル類が1リットルあたり数mlから数十ml含まれていることがあります。高級脂肪酸エチル類は味を生み出す源で、例えば、脂肪酸類や高級脂肪酸エチル類を除去した味噌で作った味噌汁は、スープのような味になってしまうそうです。高級脂肪酸エチル類は、芋焼酎や黒糖焼酎に多く含まれており、麦焼酎や米焼酎にはほとんど含まれていません。これは、ろ過やいろいろな精製を行うことにより、高級脂肪酸エチル類がほとんど取り除かれてしまうからです。

また、同じ原料のサツマイモと米を使用しても酒造会社によって味に差が出るのは、ろ過の方法やろ紙の種類によって高級脂肪酸エチル類の取り除かれる量が変わってくるためで、その調整具合が各社のノウハウとなっています。高級脂肪酸エチル類が多く含まれる焼酎の方が味のあるものになりますが、多ければ良いというものでもありません。高級脂肪酸エチル類は油の一種であるため酸化を起こし、焼酎造りにおいては厄介な代物でもあります。この酸化現象は、高温、日光(紫外線)、空気(酸素)などの影響が強く、焼酎の瓶の色が茶色や緑色など色付きのものが多いのはそのためです。また、暖かい季節に出荷した焼酎が冬に白く濁ってしまうことがあります。これも高級脂肪酸エチル類の仕業で、高い温度下では焼酎に溶け込む量が多かったのが、低くなると溶け込みにくくなり、白色の物質に変化するためです。こんなことが無いよう、各酒造会社は焼酎の品質や季節に合わせて高級脂肪酸エチル類の量を良い具合に調整しているのです。本格焼酎を造るのって、けっこう大変なんですね。
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